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「リン酸塩」とは?

「リン酸塩」とは、緩衝剤、安定剤、粘着剤などの目的で用いられる食品添加物のことです。毒性は低く、摂取しても体内に吸収されにくい、と問題視されてこなかったのですが、じつはこの「リン酸塩」、体内の「ミネラル」と結合して外に出してしまうという性質をもっているのです。

つまり、ただでさえ足りていない「ミネラル」が、「リン酸塩」が添加されている食品を食べることにより、さらに体内から奪われてしまうということですよね。

女性(腕組み)

「リン酸塩」って、ハムやソーセージに多く使われているイメージだわ。

そうですね。でもハムやソーセージ以外にも、かまぼこ、ちくわ、プリン、ケーキ、冷凍食品など、多種多様な加工食品に使われているのが現状なのです。では、「リン酸塩」が使われている食品を具体的に見ていってみましょう。

「リン酸塩」が使われている食品

チェーン店の肉

外食産業の肉に多いのが「成形肉」です。


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また、冷凍食品などにおいても、柔らかく歯切れのいい肉というのは消費者に好まれますよね。しかし、そういった「やわらか加工」がどうやって行われているかというと、「インジェクション処理」というものです。

これは、肉を増量したり食感をやわらかくするために、無数の針を指して「リン酸塩」入りの調味液を注入するという処理です。そしてこういった加工がされると、素材の栄養が抜け落ちてしまいます。

また、リン酸塩の中でも、肉の接着作用が特に強い「ポリリン酸塩」と「ピロリン酸塩」にたんぱく質をつなぎ合わせる酵素を入れた白い粉を、くず肉にまぶして成形器の中に入れて固めれば、同じ形で同じ大きさの肉をいくらでも作ることができます。

同じ形同じ大きさは、チェーン展開する外食産業に特に喜ばれますよね。

ハムにも「リン酸塩」が使用されています。肉にたくさんの注射器を指して、砂糖、食塩、化学調味料、発色剤などとともに「リン酸塩」を注入。こうして2倍前後に膨れた肉を固めてハムは作られるのだとか。なので、生肉よりも安かったりもするようです。

ソーセージは、ひき肉に「リン酸塩」を含む調味液を混ぜ込んで、1~3割増量して固めています。

トロと称される魚

魚も、いまや「インジェクション」処理がされるようになっています。サーモン、マグロ、ブリ、サバ、ホッケの開きなどに、数百本の細い注射針を刺して調味液を入れ、1~2割増量しているのだとか。この調味液には、食塩水をベースに、「リン酸塩」、水あめ、でんぷん、ゼラチン、甘味料、増粘多糖類、化学調味料、日本酒などが入っているそう。

また、ブリやサワラの切り身に味つけした「西京漬け」「しょうゆ漬け」「みそ漬け」なども、「インジェクション処理」して早く味が浸み込むようにしているといいます。しかし、こういった加工により、魚の栄養素やミネラルが溶け出してしまっているのが現状なのです。

かまぼこ・ちくわ・はんぺん・なると

かまぼこやちくわなどの魚肉練り製品も、タラなどをすり身にするときに、ほとんどの場合「リン酸塩」が使われています。

しかし、そういった魚肉練り物を原材料にして、はんぺん、なると巻き、揚げかまぼこ等を作ったときには、原材料の「魚肉」に対して「リン酸塩」が添加されていても、それは「キャリーオーバー」が適用され、表示が免除になります。

「キャリーオーバー」とは、食品に使用する原材料の製造・加工に使われた食品添加物です。完成した食品では微量となり、食品添加物としての子かを表さない場合に、表示免除となります。


つまり、はんぺんやなると巻き、揚げかまぼこなどに、「リン酸塩」との表記があった場合、「魚肉に添加されているリン酸塩」以外にも、それらを作る工程で「リン酸塩」を用いているということを意味します。二重添加ですね。

魚肉ソーセージにも「リン酸塩」が使われています。「栄養機能食品」「特定保健用食品」と表示されているものでも然りです。

女性(頭をおさえる)

とても難しいし・・ なんだか、市販品のすべてがダメなように思えてきちゃうわ・・


【食材選びのポイント】魚肉練り製品の選び方より

でも、わざわざ「リン酸塩不使用」や「無リンすり身使用」などと表記して、安全性をアピールしているものもあります。こだわりのものを提供しているお店や生協、ネット宅配などを活用していくと、そういったものも購入できますよ。

女性(ポイント)

そっか。そういったものも買えるのね!

表示トリック!?食品添加物は、約1500種類品目もあるため、同様のはたらきをする物質はまとめて「一括表示」することが認められているのです。

「リン酸塩」においても、この「一括表示」が適応され、「pH調整剤」「調味料(アミノ酸等)」「かんすい」「膨張剤」「ベーキングパウダー」「イーストフード」「ガムベース」という表記の中に含まれてしまっている場合もあるのです。

チーズ

チーズにおいては「乳化剤」という表記の中に「リン酸塩」を含んでいることが多いといいます。

缶詰

また缶詰(カニ、鶏、イカ、ホタテ貝柱、アサリ、あずき、ギンナン、マッシュルームなど)には「pH調整剤」という表記の中に「リン酸塩」を含んでいることが多いといいます。

卵豆腐・茶碗蒸し

なめらかな舌触りのものも「リン酸塩」を使ったものが多いといいます。卵豆腐や茶わん蒸しなどですね。これらに「リン酸塩」を添加することで、落としても中身が崩れなくなり、消費者からの苦情が少なくなる等の理由で、スーパーなどの販売者に喜ばれるのだそう。

和菓子

どら焼き、大判焼き、人形焼き、たい焼き、まんじゅうなどの和菓子には、「膨張剤」の中に「リン酸塩」が含まれているものが多いです。栗ようかん、栗蒸ようかんに「リン酸塩」と表記されていたら、膨張剤と二重使用の可能性が高いので避けた方がいいでしょう。

クリーム大福、クリームもみじ饅頭には、クリームに「リン酸塩」が使われており、「ふわふわ」「やわらか」「真っ白」「白雪」の加工にも使われていると思った方がいいですね。

その他、色とりどりの高価な和菓子にも、型崩れしないように「リン酸塩」が使われていることが多いといいます。

冷凍食品

冷凍食品にも「リン酸塩」は使われています。これは、例えば、揚げたときに透明感があり、冷めても美味しいように。いった効果をもたらします。

つまみ

酒のつまみにも「リン酸塩」が入ったものが多いですね。さきいか、イカの燻製、イカ軟骨、チーズたら、チーズかまぼこ、食肉乾燥品、サラミなどにはよく使われているといいます。

こういったつまみによって、悪酔いになってしまうこともあるので十分に注意していくといいでしょう。

ラーメン

ラーメンは、麺にも具材にも「リン酸塩」が使われています。麺には「かんすい」に含まれています。日本のラーメンの場合は、古代中国の時代から使われている「天然のかんすい」ではなく、「リン酸塩」を含む化学物質の混合物がほとんどなのが現状です。

チャーシューも、中国で煮込んで「リン酸塩」を入れて冷凍して輸入されたものが多いそうです。その上、スープに入れる油も精製されたラードを用いる店が多いといいます。

女性(頭をおさえる)

旦那が好きなものばかりだわ・・ 旦那につられて子どもたちも食べたがっちゃうから、気をつけなきゃね・・

コーヒーの植物性クリーム

クリームは、粉末タイプも液体タイプも「リン酸塩」が入っています。

コンビニなどで人気のカップ入りコーヒーも、ミルクやクリームが入っていて「リン酸塩」が含まれます。これらは大抵「pH調整剤」と表示されているといいます。

プリン、ケーキ

本来のカスタードプリンは、牛乳、卵、砂糖で作ります。しかし、牛乳も卵も使わずに植物性の油脂を用いた子ども向けのプリンが増えていて、さらにはそれに「リン酸塩」も使われています。

ケーキも、やわらかくて弾力のあるスポンジケーキに、形を保つための「リン酸塩」が、またホイップクリームにも、植物油脂と「リン酸塩」が用いられています。

コンビニ、スーパー多店舗展開しているケーキ店で売られる各種ケーキは、工場からの配送ルートが長いので、形や品質を保つために「リン酸塩」の使用は不可欠になってしまうのです。

女性(ショック.)

子ども用のものにも使われているなんて・・

「リン酸塩」の摂取量は、食品添加物の中ではトップクラスに多く、製造メーカーが25kgの袋(セメント袋のようなイメージですね。)で販売しているほどだといいます。

男の子(虫眼鏡)

それって、それだけの量をぼくたちが食べているってことだよね。

「リン酸塩」に限らず、いま日本で認められている食品添加物において問題とされていることの一つに、一つ一つの食品添加物の安全とされる許容量は示されていても、それらを複数合わせて食したときの安全性などが計られていない!という問題があります。

「リン酸塩」は、「毒性は少ない」といっても、体内のミネラル分を奪ってしまう性質があり、「少量なら問題ない」といっても、こんなにたくさんの食品に添加されている現状では、体にマイナス要素しかありませんよね。

女性(腕組み)

そうよね。でも、こんなに多くの食品をダメと言われても・・ となってしまうのも本音だわ。

そうですね。なので、まずは便利さに頼りすぎてしまっている現状をよく自覚して、自分の食生活に摂り込んでいける何かを探していきましょう。

どうしても好きでやめられないものは、「リン酸塩」などの添加物を使わない努力をしているメーカーのものを探してみるのもいいですよね。プリンやケーキなどは手作りに挑戦してみる!もいいと思います。

「これもダメ、あれもダメ!」とマイナスに考えるのではなく、「こうすればできるかな!」とプラスに考え、楽しんでいけるといいですね。

おいしい物を食べると、人は体の底から元気が湧き出してきます。そんな「食」のチカラを実感できる機会が増えていくといいですね。


参考文献:「食べなきゃ危険」三五館