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「スーパー公務員」が着目している「自然栽培作物」
こちらのお2人をご存知でしょうか?
「奇跡のリンゴ」の木村秋則さん、そして「ローマ法王に米を食べさせた男」高野誠鮮さん。

「奇跡のリンゴ」は知ってるわ。映画や本になってるわよね!
( → 木村秋則さん紹介記事 )
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「ローマ法王に米を食べさせた!」って、すごいことなの?
ローマ法王に米を食べさせたことがすごいというよりも、高野さんは、そこに至るまでの行動力がすごいんですよね。
「スーパー公務員」高野誠鮮さん
『 1955年、石川県羽咋市生まれ。科学ジャーナリスト、日蓮宗妙法寺第四十一世住職、立正大学客員教授。
テレビ企画構成作家として「11PM」「プレステージ」などを手がけた後、1984年に羽咋市役所臨時職員になり、NASAやロシア宇宙局から本物の帰還カプセル、ロケット等を買い付けて、宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」を作り、話題になる。
1990年に正式に職員となり、2005年、農林水産課に勤務していた時に、過疎高齢化が問題となった同市神子原地区を、年間予算わずか60万円で立てなおすプロジェクトに着手。
神子原米のブランド化とローマ法王への献上、Iターン若者の誘致、農家経営の直売所「神子の里」の開設による農家の高収入化などで4年後に “限界集落” からの脱却に成功させる。
2011年より自然栽培米の実践にも着手。 』
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なんか、よくわからないけど、すごそう!!
高野さんをモデルに「地域活性化」をテーマにしたテレビドラマもありましたよ! ↓
http://www.tbs.co.jp/Napoleon_no_mura/
彼は「お坊さん」であり「役人」でもあります。そんな職種柄か、僧侶として人道の深さがあり、さらには役人としてのパイプの太さや組織や地域を動かしていく力にも長けています。
プロフィールに
『 農林水産課に勤務していた時に、過疎高齢化が問題となった同市神子原地区を、年間予算わずか60万円で立てなおすプロジェクトに着手。
神子原米のブランド化とローマ法王への献上、Iターン若者の誘致、農家経営の直売所「神子の里」の開設による農家の高収入化などで4年後に “限界集落” からの脱却に成功させる。 』
とありますよね。
「ローマ法王に米を食べさせた!」という一言の奥に隠れてしまっていますが、彼の偉業は、何よりも「地域活性化」を成功させたという部分。そしてそんな彼の行動を追っていくと、「地域活性」の本当の意味や「地域の在り方」や「人としての在り方」までにもたくさんのヒントをもらっていくことができるのです。
彼が、「過疎高齢化」が問題となっていた限界集落からの脱却を市長から命じられ、まず行ったことは何でしょうか?
『 立派な計画書をいくら作っても、計画書だけでは地域活性をしてくれません。動かしているのは人なんです。だから村に飛び出していって地域住民の話を聞き、問題点を見極め、解決方法の戦略を練った。行動に勝るものはないと思ったからです。(↑「日本農業再生論」より) 』
一般的なお役人さんは「計画書づくり」を先に行います。立派な書類を準備して、上司に決済をもらって、実行です。でもこういったやり方では、理想と現実にギャップができてしまう・・ そして結果的には何も解決していきません。
でも高野さんは、その地域に行き、その地域の人の話を聞くところから始めました。そして、地元の人にとっては「こんなの、この地域では当たり前だよ!」という部分でも、じつは外から見ると「とても魅力的だったり、お宝だったりする!」ということに気づきました。
そして、そこに着眼点を置いて、PRしていく、ブランド化していく、組織につなげていく、という行動をとっていったのです。
その結果、4年後には、
*若い人の定住で、限界集落からの脱却。
*ローマ教皇への献上米に成功し、神子原米というブランド品の誕生。
*生産者が価格設定する直売所オープン
に成功していたのだとか!
そして全国から「地域活性化」の講演依頼も相次ぐほどになり、「スーパー公務員」と呼ばれるようになりました。
そんな高野さんが「奇跡のリンゴ」の木村さんと出会って、いま広く普及させようと尽力を注いでいるのが「自然栽培作物」!
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なんで「自然栽培」なの?
日本ブランドとなり得るほどの可能性をもつ「自然栽培作物」
まずは「自然栽培」と一般的な「慣行栽培」の違いを理解しましょう。
「自然栽培」とは?
「自然栽培」や「自然農法」とは、農薬や化学肥料のみならず、有機肥料も使わない栽培方法のことを言います。
慣行栽培
化学肥料や農薬を使った一般的な栽培方法。
有機栽培
一定期間(作物の種別により、2年や3年と規定がある)農薬や化学肥料を使用せずに栽培されたもの。その他、遺伝子組み換え種苗の使用や、収穫後の化学物質及び放射線の照射も禁止されています。
第三者の認定機関により検査認証を受けて合格すると「有機JASマーク」を表示することが出来ますが、この法律内では「一部の農薬の使用が認められている」ため、完全に「無農薬」ではないもののあります。
【有機肥料】(‥家畜の排泄物などの「動物性肥料」や、アシや米ぬかナタネの油かすといった「植物性肥料」など)は使われます。そして、肥料の「質」や「バランス」などはそれぞれです。
自然栽培・自然農法
現状では「有機JAS 認定」の範囲内に入ってきますが、「有機栽培」とは、【肥料を使わない】という部分で違いがあります。
「自然栽培」は環境を良くする!?
高野さんが公務員として自然栽培を推進するために尽力された羽咋市は、今も行政とJAが手を組んで「自然栽培」を推進しています。また同じ石川県の県立津幡高校では、自然栽培の授業取り入れ始めたともいいます。じつはこういったことは世界初の試みだといいます。
こんなふうに「自然栽培」が根付いている羽咋市。そして、そんな羽咋市のある能登半島には、国の特別天然記念物のトキも生息していました。
しかし、そんなトキも、農薬の使用が増えるにつれて激減し、2003年に最後の国産のトキが死んでしまいました。その後中国産のトキが佐渡島で繁殖し、放鳥されるようになっていましたが、羽咋市には長い間その姿を見せていなかったそうです。
ところが、そんなトキが、なんと、羽咋市で「自然栽培」に取り組むようになった3年後に、羽咋市の田んぼに戻ってきたのだとか!
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へぇー、トキにはきれいな田んぼがわかるんだね!
化学肥料の問題点
農作物に着目して、環境に良いものというと「無農薬」や「オーガニック」をイメージする方が多いと思います。つまり、環境に悪いものとしてイメージするものが「農薬」や「除草剤」といったものなのでしょうね。
しかし意外に知られていませんが、「化学肥料」というものも、環境に多大なるダメージを与えているのです。
「化学肥料」というのは、人工的に作りだした肥料のことです。これらの原料は、戦争が終わり余ってしまった化学兵器でもあると言われています。
植物は、本来、土壌中にあるチッソ等を栄養として育ちます。これらは自然に分解された物質です。しかし、私たち人間が、特に食糧難だった戦後、それらが自然に分解される時間をタイムラグするために「人工的に植物の栄養になる物質を入れた。」それが「化学肥料」なのです。
しかし、自然の流れに逆らうそういった行動は、自然のサイクルを狂わせます。そして、そういった人工的な肥料は多すぎて植物たちは吸収しきれずに余ってしまいます。
畑にまかれた「化学肥料」。作物がそれらを吸収するのは10~15%だといいます。では残りはどこへいくのかというと、その他の雑草や土が吸収するのが20~30%、残りの55~70%は地下水や河川に流れ込み、水の汚染の原因になっているのです。
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えっ、じゃあ「家庭菜園で無農薬!」なんて誇らしげに言っていても、ホームセンターで「化学肥料」を買って使っている時点で環境にはやさしくなくなっちゃうわけのね‥
そうなんですよね。しかも、化学肥料が多すぎると、作物もそれを吸収しきれずに体内に成分を多く残してしまうこともあります。そういった部分で問題になっているのが、葉物野菜に多く残留しているという「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」の問題です。
「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」残留の問題とは
有機肥料でも未成熟のままの肥料を使用することや化学肥料を与えすぎることが原因で、作物中に「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」というものが残留してしまうことがあります。
この「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」は、体内に入ると「亜硝酸態窒素」という有害物質に変わり、血液中のヘモグロビンの活動を阻害するので酸欠を引きおこし、最悪の場合死に至ってしまいます。
これらが残留したほうれん草を与えられた赤ちゃんが、何十人と亡くなったという「ブルーベイビー事件」‥今から60年ほど前にアメリカで起こりました。その後も、このような事件は多発しているといいます。
つまり「化学肥料」を使いすぎは、環境だけではなく、私たちの体にも悪い影響を与えてしまうということ。
ちなみに、日本は、そんな「化学肥料」を世界一使用している国なのです・・

えっ、じゃあ、世界一環境にも体にも良くないことをしているのが、日本ってことなの・・!?
↑ のように「自然のサイクル」を無視して人間の都合のいいように進めていこうという農法により、私たちは、いま、限界を感じ始めています。
農薬や除草剤の多用、化学肥料に頼りすぎている農業、それにより不調を訴え始めている人々・・アトピーやアレルギーにもこれらの関与は大きいといいます。
そして「自然のサイクル」に立ち返ることの重要性に気づき始めた。それが「自然栽培」の在り方そのものです。
自然は循環している
例えば、一つの植物で考えてみても、種→芽が出て→育って→満ちて→枯れて→倒れて→土に還りますよね。
でもこの一連は、この植物単独では成り立ちません。植物が育つためには「空気」「水」「太陽の光」が必要とされます。そして、それらの栄養を取り入れるためには微生物が大きな役割を担っています。また枯れてから土に還るのにも、微生物が分解をしてくれて初めて可能になることです。
つまりここには、植物だけでなく、空気、水、光、微生物をはじめとする生き物が混在しているのです。それらの調和により「自然のサイクル」というのは、ゆっくりと動いていっています。
しかし、私たち人間はそのサイクルを、自分勝手に崩してきてしまいました‥ 作物を大量に効率よく生産するために「化学肥料」をまき、それらの余った栄養を食べに来た虫たちを殺すために「農薬」をまき、農薬によって微生物が住めなくなった土にまた化学肥料を入れる‥
ひいては、そうやってビジネス化されていった「肥料」や「農薬」に、今度は「種」までも独占されようとしてきています‥
いま、世界は、そうやって一部の人の利益のために、そこの住む私たちみんなの「食」がターゲットにされ始めているのです。「遺伝子組み換え」はいい例ですね。
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なんだか矛盾ばかりじゃない・・
そうなんですよ。だからこの「矛盾」を一つ一つもとに戻していかなければ、根本部分が解決していきません。
「自然栽培」は自然に上手く寄り添っていくといった栽培方法です。つまり、自然をよく観察し、自然に逆らわない方法をとっていけないと成り立たない栽培方法なのです。「自分(人間)勝手」は通用しません。
そして、そういった農の在り方を通して、私たち人間が行きすぎてしまった部分を見直し、改めて修正していくこと。するとそこには、崩れてしまった「自然のサイクル」が戻ってきます。そして、本来そこに存在するはずの動植物も戻ってくるのです。
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あー、だから「トキ」は羽咋市の田んぼに戻ってきたんだね!
「自然のサイクル」に戻していく農法。それが「自然栽培」です。だから、他の田んぼではなく、羽咋市の「自然栽培」の田んぼにトキも戻ってきたのでしょうね。
日本発の「自然栽培」という技術
この「自然栽培」、提唱者の福岡正信さん、岡田茂吉さんに始まり、木村秋則さんが体系化していると言われています。
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日本人が始めたものなんだね!
そうなんですよ! だから高野さんは、この「自然栽培」を「ジャポニック」と名付けて、世界に売り出していこうとしているのです!
「オーガニック」の上をいく、日本発の「ジャポニック」!
「自然栽培」革命で 日本は世界一になる!
「自然栽培」は 地球を救う!
には、このような深い意味が込められているんですよね! そしてこの「自然栽培」。高野さんがいろいろと働きかけて、大学内への自然栽培学科の設立、国会議員で結成する「自然栽培推進議員連盟」などの動きもあるんです!

学校も! 政治家さんも! すごいわね。
すごいですよね。そして彼は、日本人があまりにもこういったことへの関心が薄いからと、国外で「自然栽培」を流行らせて、外から国内に逆輸入する!なんていう手立ても考えているみたいですよ!
だから私たちは、もっと「日本人」であることの誇りを持つべきですよね。
そして、日本人である私たちが、こういった日本の良さがつまった食べ物を食していく、選んでいくことで、日本を、自然と調和できる世界一の国に導いていくべきです。
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ぼくの好きな「武士道」みたい! やっぱり「日本」っていい国だね。