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「子育て」を楽しめるお母さん、楽しめないお母さん
「弁当」から見えてくる子育てに苦しんでいる現代のお母さんたちの姿
ある幼稚園では、いま全国の学校に広まっている「”子どもが作る” 弁当の日」の取り組みに感銘を受けた園長先生が、「子どもたちが自分でおにぎりを作ってくる日」を設けようとしたところ、ある保護者が、「そこまでうちの台所が見たいんか!」と大反発したといいます。
またここ10年くらいの間に、「運動会の日も給食を提供する!」といった学校があちらこちらで出てきているといいます。
ある学校では、運動会の日に給食を出してほしい。という保護者の要望があげられましたが、給食センターの職員がそれに対してストライキを起こしたために、校長先生が関係者を呼び協議することになったのだとか。そして出た結論は、運動会を午前中で終わらせる。といったものだったそうです。
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「お弁当」のために、運動会が半分にされちゃうの!?
どうして、これほどまでに、「弁当」を作ることを拒否する親がいるのでしょうか?
また、これほどまでではないにしても、「弁当作り」や「日々のごはん作り」を苦痛に感じてしまうお母さんは多いですよね。
それは、「=子育てを苦しんでいるお母さんが増えている。」とも捉えらます。
あなた自身はどうでしょうか? 「子育て」を楽しめていますか?
ポイントはお母さん自身の育てられ方
ひとつ言えることは、自分自身が「子育てを楽しむ」ことのできる親に育てられたお母さんは、自身も子育てを楽しむことができます。反対に「子育てを苦痛」に感じながら育てられたお母さんは、自身も子育てを苦痛に感じてしまうのです。
そして現代社会では、そうやって「子育て」に苦痛や戸惑いを感じている人が非常に多いです。
私たちは「保育」の勉強をして「子どもとはどういうものか?」なんていうことを理解してから母親になるわけではありませんよね。普通に暮らしていく中で、恋愛をして、結婚をして、子どもを授かる。「子ども」や「保育」や「子育て」なんていう知識はないままに、ある日突然、肉体的に母親になるのです。
そういった状況の中で、わからないことがあって、戸惑いがあって、当然です。
昔は、自身の子育て経験をもってその知恵を伝承してくれる「おばあちゃん」の存在があり、確固たる方針を示してくれる「家長(父親)」という存在があり、また「地域」という場で温かく子どもを見守る眼がたくさんありました。
しかし、いまはそれらがないがために、「子育て」を母親一人がすべて背負ってしまうような状況になっているのです‥
そんな中でお母さん自身が頼れるもの。それは、自身の体にしみ込んでいる経験になります。「自分が小さいころ、親にこうしてもらったことが楽しかった!」という経験、「自分は親に何かをしてもらった記憶がない‥」という経験。それがそのまま自分の「子育て」を形づくっていくことになるのです。
幼少期の経験がそのまま脳を形づくる
「3つ子の魂、百まで」という言葉があるように、幼少期というのは、自身の経験や周りをマネしていくことにより、「脳」という「ハード」を作り出している時期です。
<「ハード」と「ソフト」>
スマホをイメージするとわかりやすいです。「ハード」というのは基礎です。つまりスマホ本体のこと。「ソフト」というのは、その中にダウンロードするアプリのことです。
つまり、ここで形づくられた「脳」(「ハード」)によって、その後のダウンロードできる「アプリ」の量や種類が変わってきてしまうのです。
「何をするにも「子ども」をジャマに感じてしまう‥」「何とか、子どもに自分の言うことをきかせよう‥」「毎日の食事の準備もめんどくさいから、簡単に買って食べられるもので済ませよう。」 そういう環境で育てられた子は、「子ども」という存在を否定的なものとして認識し、また「食」も外へ委託できるものと認識し、そのまま「ハード」をつくっていきます。
そして自分が親になったときも、「子ども」という存在を否定的にしか捉えられなくなってしまったり、食事作りが苦痛になってしまったりしてしまうのです。・・これは当然のことですよね。
反対に、「子どもと一緒に過ごすことが楽しくて仕方ない!」「家族のために作ったごはんを、家族でおいしく食べられることが幸せ!」 そういった環境で育てられた子は、「いまを楽しむ」ことを体で覚えていきます。
そして自身が親になったときも、「子ども」との時間や、「食」を大切にしていけるのです。
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確かにそうね。
だから、「子育てを楽しめない‥」「日々の食事作りが苦痛で仕方ない‥」「お弁当なんて、自分の「できない」を見られるから嫌だ!」なんて思ってしまう自分を責めてしまうことがあるかもしれませんが、そんなお母さん自身は、決して悪くないのです。
そして、だからといって自身の親御さんを責めるべきことでもありません。時代の流れの中で仕方がないことだったのです。
だけど、こういった負の連鎖をどこかで止めていかなければ、あなたのお子さんもまた同じように「子育て」を楽しめない大人になってしまいます。もしくは、「子を産み育てよう!」とも思わない大人になってしまうかもしれません。
<「子どもを産み育てよう!」という感覚を持たない現代の大人たち>
いま、子どもを産み育てている世代には、特に深刻さが写し出されています。
http://www.stat.go.jp/data/nihon/g0402.htmより
( 人口ピラミッド 平成25年 総務省統計局 )よく目にする「人口ピラミッド」。ここから伺え知れる深刻な問題がわかるでしょうか?
昭和22年~24年の「第1次ベビーブーム」がありますよね。そして、そこで生まれた世代が次の世代を生んだ、昭和46年~49年の「第2次ベビーブーム」もあります。
でも、なぜ、その「第2次ベビーブーム」の次の世代であるはずの平成10年前後に、「第3次ベビーブーム」としての膨らみがないのでしょうか。
これは、「子どもを産み育てたい!」「子育ては楽しい!」という感覚が次の世代に伝承されていないことを意味します。生き物として「子孫を残す」ということは本能です。つまり、その当たり前の感覚が途絶えてしまっているということ。
それは大変だわ・・
子孫を残そうと思わない生き物に未来はありません。まずは、「子育てが楽しい!」「子どもを産み、育てていきたい!」という感覚を、次の世代の子どもたちに育てていくことが、現代社会の最も重要な課題となっているのです。
人は環境を変える脳を持っている!
「“子どもが作る” 弁当の日」は画期的な取り組み
先にも出てきました「“子どもが作る” 弁当の日」という、全国の学校に広まっている「食育」への取り組みがあります。
この取り組みは、こういった環境下で、「食」への興味がなくなり、食べることの大切さや楽しさを伝承されなくなった「いまの子どもたち」に、食の大切さ、そして、料理に挑戦することで得られる「達成感」や「人の役に立てる喜び」を実感させる機会を与えるために始めたものだといいます。
そしてこの取り組みが最初に実践されてから十数年が経ち、現在では全国で1800校以上もの学校に広がりを見せている中で、「弁当の日」を経験した子どもたちと、そうでない子どもたちとの、その後の「食生活」や「価値観」の差は驚くほど大きいといいます。
そして、この「弁当の日」の取り組みによって育まれる「食事作りが楽しい!」という感覚や「食は大切な恵み」であるという体感は、「生きるチカラ」を呼び起こし、「子を産み育てていきたい!」「子育てが楽しい!」という感覚にまでつながっていくといいます。
「食」というのは、それほど「生きる」の基本となっているのです。まずは、その「食」の大切さをいま一度体感していきましょうね。
人間だけがもっている脳を変えていくという能力!
他の動物にはない、人間だけがもっている能力があります。それは「脳を変容させていくチカラ」です。
自身の育ってきた環境は変えられません。それによって作られてきた考え方の癖や価値観もそうそう変えられないかもしれません。
特に、脳の形成は~19才までと言われ、それ以前の時期はとても柔軟に変容していくことができますが、それ以降は固くなっていってしまうために、変容させていくのにも時間がかかるようになってしまいます。でも、変えられないことはないのです。
なので、まずは、自分自身を否定することを止めましょうね。あなたが悪いわけではないのだから。そしてあなた自身が「今を楽しむ方法」を見出していきましょう。自分の考え方次第で環境は変えていけるし、変わっていくものです。
また、目の前のお子さんの可能性は摘まないようにしてあげましょうね。お子さんは、今の経験をもって、自身の基礎を作り、未来を作り出していくのですから。