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「“子どもが作る” 弁当の日」という取り組み
2001年に香川県の小学校ら始まった「 “子どもが作る“ 弁当の日 」。これは、献立、買い出し、調理、弁当箱づめ、片付けまでの一連を、子どもに自分だけで行わせるといった取り組みです。
( 詳しくは 【 食育 最前線 】「”子どもが作る” 弁当の日」を知っていますか? でご紹介しています。)
この取り組みは、単に「調理技術を習得させること」に留まりません。「食事作り」というものを通して、子どもたちは、食事を作ることの大変さを知り、食事を作ることで喜んでくれる存在がいることを知り、人の役に立てる喜びを体感しながら「生きるチカラ」を育んでいくのです。
そしてこれは、「脳の発達」にもとても役立つ機会となっていきます。また「味覚の発達」を考えるときも、子どもを台所に立たせることの意味合いは大きいです。では、その「発達」という部分に着目していってみましょう。
子どもの発達年齢から見る関わり方のコツ
【0才~9才】 味覚が発達する時期
0才~9才は味覚の発達の時期です。9歳以降の発達はありません。
0才~3才の間の味覚は、基本となる「甘い」「脂」「うまみ」の3つだけなのだとか。じつは、これは本能的に人間が欲している栄養素の味です。「甘い」は脳が必要としているブドウ糖の味、「脂」は細胞をつくるために必要なもの、「うまみ成分」は必須アミノ酸です。
そして、3才~9才の間に、ビタミン・ミネラルを取るために、「苦い」「渋い」「えぐい」「酸っぱい」「辛い」なので味覚を覚え、一生生き残るために必要な味覚を形成していくのだそうです。
なので、この時期に「食」や「味覚」というものを大切にしていかないと、「味覚」のない人間を育ててしまうことになるのです。
いまは、簡単に手に入り便利なもの、そして添加物や砂糖の多い食品に頼ることが多いですよね。離乳食期でさえ、温めればいいだけのレトルト食品が多く出回っています。
そして1才を過ぎる頃には固形物も食べられるようになるため、なおさら市販品に頼ることが多くなっていってしまいます。また、子どもが好んで食べるものばかりを与えてしまう。といった傾向も強くなってしまいますよね。
結果、味覚形成の時期である0才~9才の時期にきちんとした「食」を与えられずに、「味覚」の基礎ができていない人が多いようです。ある調査では、女子大学生の「味覚」を調べたところ、なんと85%の学生の味覚が崩壊している事実がわかったといいます。
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子どもの時にちゃんと食べていないと、「おいしい!」がわからない大人になっちゃうってこと!?
【0才~7才】 マネをして覚えていく時期
0才~7才の時期。これは模倣の時期です。この時期に、子どもは良い悪いに関係なく、周りの人がやることをマネていきながら、自分の脳を形づくっていっていると言われます。
つまり、お母さんが、冷蔵庫の扉をおしりで閉めていたら、それを見た子どもは、「冷蔵庫は、手で開けて、おしりで閉めるもの。」として認識し、そのまま脳を形づくっていくということなのです。・・気をつけましょうね。
そして、特に~3才までは顕著です。「三つ子の魂、百まで。」という言葉がありますよね。いまは「科学的根拠」というものが重視され、「脳科学の観点からも」と言われますが、そういったもののない昔から、人は感覚や体験から~3才までを重要な時期として大切にしてきているのです。
なので、0才~7才までの時期というのは、言葉で「○○しなさい。」という必要はありません。子どもにしてほしいことは、自分がお手本となって行動していけばいい。そして、してほしくないことは、自分も改めればいいのです。良いも悪いも関係なく、子どもはすべてをマネていきます。
【2才~10才】 子どもが台所に立ちたがる時期
子どもが台所に立ちたがる年齢は、2才~10才で、5才がピークだといいます。10才以降は立ちたいとは言わなくなるそうです。
そして、台所に立ちたがる理由の一つは、人の役に立ちたいからです。親を助けることによって、自分の存在価値を見つけようとする本能だとも言えます。
しかし、いまは、ここで子どもに入ってこられると、自分のペースが崩されてしまう‥ 余計に時間がかかってしまう‥ と子どもを遠ざけてしまうことが多いのではないでしょうか?「テレビを見ていなさい。」「ゲームをしていなさい。」「宿題をやりなさい。」と。
そうやって台所から追い返せれた子どもは、「台所に立ちたいと思う自分は悪い子なんだ。」と脳に刷り込んでいってしまいます。そして、「自分の要求を言うのではなく、親の要求を黙って聞くことが、役に立つことだ。」と覚えていってしまうのです。
【8才~19才】「共感脳」が育つ時期
「共感脳」というのは、脳の前頭前野という部分です。ここは、最も人間を人間らしくしている所とも言われます。そしてここは、「人の役に立った!」と実感したときに発達していくのだそうです。
この「共感脳」というところは、相手の気持ちを推し量るといった働きをするところです。ここの発達が未熟な場合、相手の気持ちがわからない、相手のことを考えられない、となり、いじめや暴力へとつながってしまうのです。
ここが発達する年齢が8才~19才です。
なので、この時期に、「人の役に立った!」という経験や自分が必要とされていると実感できる経験をたくさんさせてあげましょう。そういったことで親子の絆もつくられていきます。
そして、そこに「食」は、とても大きな役割を担ってきます。料理を作るということは、それを食べて喜んでくれる人がいるということです。
誰かが喜んでくれること。それは「人の役に立った!」と実感することであり、「共感脳」の発達を促します。そしてその人自身の「自己肯定感」も育まれるのです。
子どもを台所に立たせる意味
味覚の形成の時期、子どもが台所に立ちたがる時期、子どもがマネすることでいろいろなことを覚えていく時期、・・すべて重なります。
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ほんとねー。
「子どもが台所に立ちたがる」というのは、本能なのかもしれませんよね。そんなふうに、子どもが生まれながらにもっている「生きるチカラ」。
私たち大人は、それを奪わないようにしてあげなければなりません。そして、そういう習慣をつけていくことは、その後の「共感脳」の発達にもつながっていくのです。
ぜひ、子どもが育つ環境づくりを、日々の生活の中からつくってあげてくださいね。
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ぼくも、みんなにご飯をつくってあげたーい!