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「自然栽培」や「自然農法」といった言葉、最近よく見かけるようになったのよね。これって「有機栽培」のことよね‥?
「自然栽培」とは?
「自然栽培」や「自然農法」とは、農薬や化学肥料のみならず、有機肥料も使わない栽培方法のことを言います。
慣行栽培
化学肥料や農薬を使った一般的な栽培方法。
有機栽培
一定期間(作物の種別により、2年や3年と規定がある)農薬や化学肥料を使用せずに栽培されたもの。その他、遺伝子組み換え種苗の使用や、収穫後の化学物質及び放射線の照射も禁止されています。
第三者の認定機関により検査認証を受けて合格すると「有機JASマーク」を表示することが出来ますが、この法律内では「一部の農薬の使用が認められている」ため、完全に「無農薬」ではないもののあります。
【有機肥料】(‥家畜の排泄物などの「動物性肥料」や、アシや米ぬかナタネの油かすといった「植物性肥料」など)は使われます。そして、肥料の「質」や「バランス」などはそれぞれです。
自然栽培・自然農法
現状では「有機JAS 認定」の範囲内に入ってきますが、「有機栽培」とは、【肥料を使わない】という部分で違いがあります。
これは、簡単に言うと、「自然の力で栽培していく」という農業方式のことです。
例えば、木村さんが言っていたのは、「山の木には、なぜ肥料がいらないのか?」ということ。
よくよく考えてみると、そうですよね。
山や森林の植物は、人間が何かの肥料を与えたり農薬で消毒などをしたりはしていません。でも、ちゃんと育って、枯れて、種を落として、また育ちます。
じゃあ、何で、畑の作物には肥料や農薬というものが必要になってくるのでしょうか?
「奇跡のリンゴ」の木村さん
映画にもなっています。本にもなっています。
きっかけは、2006年にNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組で放送されたこと。(http://www.nhk.or.jp/professional/2006/1207/)そこで、一躍 有名になりました。
農薬を大量に使うといわれる果実類。特にリンゴは、「無農薬栽培は不可能だ!」と言われるくらい弱い作物なのだそうです。そのリンゴの無農薬栽培を成功させた木村さんという人。そして彼の栽培するリンゴは「奇跡のリンゴ」と呼ばれ、いまや入手することも困難となっているほどの人気なのだとか。
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すごいね! どうやって、その「奇跡のリンゴ」ができたんだろう?
彼は、青森に生まれ育ち、リンゴ農家の婿となります。でも、奥さんが「農薬に弱い体質」だったそうで、いつも農薬を使う時期になると体調を壊し寝込んでいたといいます。その姿を見ていたたまれなくなり、→「減農薬」 →「無農薬」へとチャレンジを進めていったようです。
<リンゴに使われる農薬の量>
真っ白になるくらいの農薬を年に十数回もかけるというリンゴ。
引用:http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/006608.html
しかし、その道のりはとても険しかった。3年経っても4年経っても実らないリンゴに収入がなくなり、さまざまのものを手放さなければならないほどに。出稼ぎにも出かけますが、とても大変な極貧生活が続いたといいます。
さらには、周囲からも「かまど消し」(‥家を破産させる人間という意味)や「ドンパチ」(‥バカよりもたちの悪い者という意味)とののしられ、批判され、冠婚葬祭の案内や回覧板さえも回ってこなくなるほどの「村八分」状態。
でも、あきらめなかった。
そして、11年という歳月をかけて「奇跡のリンゴ」が出来上がっていきます。
そこで彼が見出した栽培方法が、「自然栽培」というものなのです。
なぜ、山の木には肥料がいらないのか?
7年目の夏。彼は、絶望の末に死を決意し、山林をさまよったそうです。そして、ふと気づいたのだそう。「なぜ、山の木には害虫が一匹もついていないのだろう?」と。そして、そこから新たな挑戦が始まっていくのです。
彼がそのときに目にしたのは、【 見事に枝が伸び、葉がつやつやと茂っている1本のドングリの木 】でした。そして、その下には、自分の肩まで伸びた雑草と、それに覆われた【 とても柔らかな土 】があったといいます。
そして気づいた【土壌の大切さ】
自分の畑では雑草を敵視しすべてを刈り込んでいた。そのために土も硬く、においも優しくなかった。・・微生物がほとんどいない土だったのではないかと。「自分は地上の葉っぱの状態ばかりを気にして、地中のことを少しも考えていなかった。」と改めて思ったそうです。そして、「そうだ、畑の土を山の土に戻せばいい!」と確信したのだとか。
< 作物の良し悪しは「土」で決まる! >
いい作物を育てようと思ったとき、何が一番大切か?と言うと、「土」なのです。
そして、「いい土」とは何か?と言うと、「微生物の量」なのです。まずは、「植物はどうやって育つのか?」を知りましょう。
植物は「光合成」を行い、「糖」と「でんぷん」を作り出します。これにより自身の細胞を育てていくと同時に、これらを根に送り、微生物のエサともしていくのだそうです。そうやって、微生物を生かし、育て、集めて、増やしていく。
枯れた植物の根や死んだ虫などは、最初は、他の虫が食べます。そしてフンをする。そのフンを分解していくのが、この「微生物」なのです。
微生物は、それらを「炭酸ガス」「水」「アンモニア」「硝酸塩」「リン酸」などの「無機物」に分解していきます。そしてそれらの「無機物」を利用し、植物は育っていくのです。
循環していますよね。本来なら、こうやって、様々な生き物や植物は共存し、お互いがお互いを支えあっているのです。
畑に目を戻すと、雑草は敵視されますね。虫も敵視され、農薬を撒かれ殺虫されます。「自然のサイクル」を壊しているから、余計に「肥料」も必要となってしまいます。
まずは、「自然のサイクル」に立ち返ってみる。すると、人間が余計なことをしていることに気づかされ、それにより自らを大変にしていることにも気づかされるのです。
木村さんも言っていました。「リンゴも人間も自然の一部で、周りの自然の中で生かされているんだ!」と、そのとき気づいたのだと。そして、畑の雑草を刈るのをやめ、大気中の窒素を土に還元する働きのあるダイズを植えたそうです。
すると畑は、雑草が伸び、チョウが舞い、野ネズミや野ウサギが走り回り、カエルは害虫のガを食べ、大量発生したミミズは微生物を含んだフンをたくさんして土を良くしてくれるといったように、「自然のサイクル」が戻ってきたといいます。
「自然栽培作物」でアトピーが良くなる!?
山へ行くと、葉っぱや折れた木は、ばりばりに枯れていますが、腐ってはいませんよね。
きちんとした「自然のサイクル」のもとに育った作物というのは、腐らないで枯れるのだそうです。余計なものがないから、虫やハエがたかったりもしない。
結局は、肥料をあげすぎるから、余った肥料を虫が食べに来るのでしょうね。「害虫駆除」の前に、まず「なぜ、虫がつくのか?」を考えなければいけないのです。
木村さんのリンゴ畑。
肥料や農薬を使わないでリンゴが実るようになったら、余分な肥料を狙ってやってくる害虫が年々減っていき、10年を過ぎるころになると、大量発生していたハマキムシが一匹もいなくなったといいます。
また、木も土の中にしっかり根が生えるようになったので、台風が来ても、木が倒れることも少なくなったそうです。そしてなんと、病気になっても、葉が自ら、病気になった部分を枯らして落としていくようになったのだとか!
この「自然治癒力」は、やはり、それを食した人にも還元されていくようです。
木村さんのもとには、「自然栽培」の米や野菜を食べるようになってから、
* アトピー性皮膚炎が軽くなった。
* 花粉症が治った。
* ぜんそくの症状が出なくなった。
* 片頭痛が治った。
* 風邪をひかなくなった。
* 頑固な便秘が解消した。
という声が、全国から次々に寄せられているそうです。
また、木村さんのリンゴ畑に興味を示し、科学的に調べている教授もいるのだとか。そしてAM菌(アーバスキュラー菌根菌)という土壌菌の多さが発見され、その菌の働きや人体への働きも研究されているといいます。

すごいわね!「自然のチカラ」って!
この木村さんたちが提唱する「自然栽培」や「無肥料栽培」「自然農法」といったもの。
これらって、ただ「放っておく農法」ではないのです。
木村さんは「目が農薬」「手が肥料」だと言います。
まず、よく観察をすること。例えば、葉の葉脈は木の設計図。葉脈の型通りに枝を剪定すると、はるかに実りが多くなるといいます。そして上下逆にすると、根がそのように生えていることを想像できるのだとか。ところが化学肥料を使うと葉脈が狂います。そしてすべてがバランスを崩してしまうのだそうです‥
私たちが、いま、できること。
それは、私たちが、今まで化学的なものに頼ってきたことによる「土壌の荒廃」を知ること。そして、それらを本来の姿に再生させるために、「自然のサイクル」を戻していくこと。
それには何年という月日がかかると思います。でも、どこかで断ち切って、切り替えていかないと、私たち人間だけでなく、自然環境さえも限界を迎えてしまいますよね。
まずは、「本物の作物」を食してみましょう。
そこから感じ得るものがあるはずです。
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「奇跡のリンゴ」食べてみたい!