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オーガニックブーム

女性(ポイント)

「オーガニック」って、おしゃれだし、しかも体にも良いし、何より美味しいのよね! 私も大好き! ‥でも、ちょっと高いのよね。

いま、世界的にみても「オーガニックブーム」ですね。
とりわけヨーロッパは認識が高く、有機農業の推進拡大、保護、補助金などのバックアップが厚く、有機農業への転換がどんどんと進んでいるといいます。

なぜ、いま、こんなにも「オーガニック」が求められているのでしょうか?
そして、そもそも「オーガニック」とは何なのでしょうか?

そんな一つ一つを探っていくと、
「私たち一人一人のライフスタイルの在り方」や「自然との関わりの大切さ」がみえてきます。

現代農業の抱える問題点

「オーガニック食は安全安心」なんて言われますが、
「安全」の反対は「危険」ですよね。では、一般の農作物は「危険」なのでしょうか?

それを知るためには、まず、現代の農業が抱える問題点を知りましょう。

それぞれの問題と矛盾

まず第一に、農業先進国では、小麦やトウモロコシなどの農作物が採れすぎて余ってしまっているという「余剰農作物問題」があります。

一方で、大量生産を求めるために大量に使用されている「化学肥料」や「農薬」が農地を荒廃させ、作物の栽培ができなくなってしまっているという問題もあります。

どうして、このような問題は起こってしまっているのでしょうか?

男の子(虫眼鏡)

たくさん作りすぎて余っているのに、たくさん作るせいで土地がダメになちゃったの? ‥なんか、おかしいね。

「化学肥料」

きっかけは、第2次世界戦の終了です。
戦争が終わると、それまで武器として使っていた爆弾や火薬が使われなくなります。

やがて、終戦とともに余った大量のこれらは、「化学肥料」へと変換されていきました。
そのため、「化学肥料」は、大量に安く生産することが出来たと言われています。

しかも、終戦直後、特に日本のような敗戦国では、焼け野原に加えて、働き手の若い男子はみな戦死していない状況。そんな状況下で、短期間で農作物の収穫数をあげられる「化学肥料」はもてはやされたのです。

<「化学肥料」って何?>

「化学肥料」とは、
‥化学的に作られた肥料のことです。

対して「有機肥料」とは、
‥動物の排泄物や米ぬかや油かすといった有機物を熟成させできた堆肥のこと。

植物は、土壌にあるチッソ等を栄養として育つのですが、
これは、本来、自然に分解されてできるものです。

その自然に分解される時間を短縮するために、化学的に作られたチッソ分等を入れる。それが「化学肥料」を施す。ということなのです。

しかし、本来自然に分解されてできるはずものを、人工的に作りだし施すというのは、自然の流れに逆らっています。つまり、別の部分に影響を与えてしまう。

また、肥料を与えすぎてしまうことも同様で、余った肥料が他へと影響をおよぼす結果となってしまいます。

「化学肥料」を畑にまいたとして、
作物がそれらを吸収するのは10~15% 雑草や土が吸収するのは20~30%
残りの55~70%は、地下水や河川に流れ込み、水を汚染しているといいます。

また、「化学肥料」の原料は、戦争の武器として使われていたものと同じ。
つまり、人体に悪影響をもたらすものです。

「化学肥料」の中でも特に問題となっているのが、
「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」というもの。

これらが残留したほうれん草を与えられた赤ちゃんが、何十人と亡くなったという「ブルーベイビー事件」‥今から60年ほど前にアメリカで起こりました。

男の子(虫眼鏡)

肥料のせいで、赤ちゃんが死んじゃったの?

その後も、このような事件は多発しているといいます。

そんな中、ヨーロッパでは、早くから、農作物に残る「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」の規制に加え、飲料水にもこの項目の検査をし、規制をかけてきたといいます。

しかし、日本にはそんな規制もなく野放し状態。日本の野菜からは、信じられないほどの数値のこれらが検出されることもあるのだそうです。

「化学肥料」により作られた作物は、大きく見た目もよく立派です。しかし、栄養価は乏しい。また、軟弱なため、害虫や病気にも弱い。そして、それに比例して「農薬」の使用量も多くなっていってしまうのです。

数値として比べても、一昔前の野菜といまの野菜、ミネラルの含有量の違いが一目瞭然ですね。
ポイントは「土壌の微生物の量」 それが、そのまま野菜に反映されていきます。

微生物や虫などの生態系の一番底辺にいる生き物たちによって、土は豊かされていく。しかし「化学肥料」や「農薬」のように自然の流れに逆らっているものを使用していくことで、そのバランスは崩れてしまうのです。

しかも、「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」は、地球温暖化の原因になっているという指摘もされています。

本来、自然に一番近いはずの農業。
いま、その農業によって、自然は多大なる負荷をかけられているという事実がある‥

そして日本は、そんな「化学肥料大国」であり「農薬大国」でもあるのです。
まずは、その事実を知りましょう。

なぜ、「オーガニック」なのか?

「オーガニック」とは、
単に「からだにいい」とか「自然のもの」といった意味合いだけではありません。


http://www.jona-japan.org/about/ より )

IFOAM(国際有機農業連盟)は、「オーガニック」の原則を、
「生態系」「健康」「公正」「配慮」としています。

つまり、「オーガニック」という言葉には、
‥自然の中に共生する、私たち人間も含めた「生態系」のことだったり、
‥その背景にある「地球環境」を守ることだったり、

そういった意味合いもすべて含まれているのです。

女性(ポイント)

じゃあ、なおさら、大切にしていかないとね!

「オーガニック」の取り組みがこんなにも進められ、求められている理由。

それは、これから先、私たちが、この地球上で暮らしていくために必要不可欠なことだから、
「自然によって私たち人間は生かされている」ということを再確認する時だから、
なんですよね。きっと。