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皮膚掻痒症の治療薬はあるのか

かゆみというのは、痛みと違い治療は中々出来ないのが、
現状ではあるが、日々の医学の進歩により、すこしづつ解明されてきてはいます。
「掻く」というのは、本来、人間の体に入ってくる異物を掻いて取り除こうとする動作です。

だから、元々人間の防御機能として、働いていたわけです。
ですが、途中から機能が過剰に反応し始め、人間にとっては
煩わしいものになってしまっています。

今回のお話は、「皮膚掻痒症」についてです。

アトピー性皮膚炎とは、大きく違い皮膚掻痒症は、掻いても
赤くなるだけで、異常は発生しません。

アトピー性皮膚炎が、末梢系であるのに対し、皮膚掻痒は中枢系であるので、
そもそもの種類が違うんですね。

とはいうものの、痒みという概念では同じですので、
困った症状ではあります。

ちなみに、痒みは痛みに繋がると言われていますが、これはどうか。
痒みは痛みの通過点なのでしょうか?

実は、神経線維を良く見てみると、痒みと痛みは別の神経繊維と
されるのが現代では一般的になっています。

つまり、痒いのは、軽い痛みであるという考え方は間違っている
といえます。

痛みとかゆみのスピードの違い

痛さというのは、例えば蜂があなたを刺したら、すぐに反応すると思います。
また、熱いお茶を手にこぼしてしまったら、それも高速で反応するはずです。

しかし、マッサージでマッサージ師があなたにツボを押す時には、
蜂があなたを刺したような痛みでしょうか?

ジワジワくる痛みなのではないでしょうか?もちろん部位によっては、同じような
刺す痛みもありますが。

このように痛みは種類があり、何本かの神経線維を通ることから
こうした違いがあります。

例えば、A繊維と呼ばれる、有髄神経系のところに痛みが走ると、
これは伝導がスキップするため、痛みが瞬間的に伝わります。
しかし、これがC繊維に伝わると、伝導はスキップされず、順序だてて、
刺激が伝わるため、じわじわといたみが伝わります。

かゆみというのは、このC繊維しか通らないので、
じわじわとするものしか存在しません。

つまりスピードの速い痒みは存在しないというわけです。
確かに、今までを振り返ってみると、痒みは大きく痒いとか、
刺すかゆみなんてのは無いですよね。
治療薬はあるのか
皮膚掻痒症は、謎が多い症状です。
この皮膚掻痒症は、別名「乾皮症」とも呼ばれ、
乾燥肌で、老人がかかりやすいと呼ばれています。

ある程度、歳を重ねると肌のバリア機能が失われ、
自分でバリアを張れなくなるので、乾燥肌になりやすくなります。

しかし、アトピーのような明確な原因究明が出来ないため、
乾燥肌からくる何らかの肌トラブルであるのは、分かりますが、
それ以上は治療出来ません。

ステロイドも効きませんから、自分自身で乾燥肌を
予防し、身の回りにある乾燥や、空気を換えていくしか
方法は無いとされています。

じんましんから痒さのもとを知る

じんましんは、現代ではよく使われる言葉ですが、
最初は赤みを帯びたような症状になります。

そして赤みを帯びると、かゆくてかゆくて、仕方なく、日中、夜関係なく
かゆいために仕事や普段の生活にも影響を及ぼします。

ただしある程度の期間を置いた後、消えてしまうのが特徴的でもあります。
大抵は、すぐにおさまりますが、中には一日程度かかってしまうものもあります。

じんましんのようなアレルギーは、lgE抗体という免疫グロブリンが、異種タンパクに対して、
作られるために起きます。このlgE抗体は炎症を起こす物質を組織にいるマスト細胞の
細胞膜などにくっついて存在します。

さて、ここで出てきたマスト細胞とは一体何なのかを説明します。
私たちのかゆみは、主にヒスタミンとマスト細胞によってひきこされています。

マスト細胞は、ヒスタミンをばらまく性質を持っているので、
ただ、このマスト細胞がいかにヒスタミンをばらまこうとも、
ヒスタミンを受容するレセプターがは働いていなければ、このヒスタミンは
機能しません。

つまり、抗ヒスタミンというのは、レセプターに届かせないように
する薬剤ということになるのは分かりますね。

じんましんの場合、この抗ヒスタミン剤がとてつもなく良く効きます。

異種タンパク抗原とこれらの細胞上のlgE抗体とが反応すると、細胞からは
その刺激で、炎症を起こす物質がただちに放出されます。
つまり、これがヒスタミン系です。

lgE抗体は、寄生虫に対する免疫反応では威力を発揮します。

この抗体の産出に関与するBリンパ球を助けるヘルパーTリンパ球をTH2細胞といいます。

TH1細胞とTH2細胞とはお互いにけん制しあい、一方が優勢になると、されが産出するサイトカイン
で相手がふえることを押さえようとします。かゆみの元となる化学物質は、インターロイキン系やプロスタグランジン、
サブスタンスPなど色々ありますが、TH1の出すガンマ・インターフェロン、TH2の出す
インターロイキン10(IL10)がそのサイトカインです。

H1細胞型の免疫反応とTH2細胞型の免疫反応は同時に起きますが、
その人のもっている体質によって、TH2細胞優位になったり、TH1細胞有利になったりもします。

その場合の良い例がアトピー性皮膚炎、
鼻アレルギー、気管支喘息などアトピー性疾患を
起こしやすいアトピー性体質です。

慢性じんましんの恐ろしさ

じんましんは、突然なることも多く、こうしたものを急性じんましんと言います。
いわゆる「ミミズ腫れ」というやつで、血管が開いて、組織液が外にはみ出し、
皮膚の腫れが起きる現象です。

また急性ミミズ腫れとは異なり、慢性的に続くミミズ腫れを
慢性じんましんと言います。

じんましんはマスト細胞が刺激され細胞の外に出す、ヒスタミンの
動きですので、抗体を飲めば、または注射すれば引いていきます。

また慢性じんましんは、急性じんましんとともに
突然起き、重篤な病気となりえることがあります。
それはアナフェラキシーショックと呼ばれるものです。

アナフェラキシーショックとは、人体の過剰な防御反応のことです。
このアナフェラキシーショックが起きてしまうと、気道の粘膜にも
浮腫が起き、呼吸困難に至ったり、急激に血圧が下がったりもします。

だから、じんましんといえども、普通のじんましんのものから、
死にいたるじんましんも存在するということです。

痒みを抑えるには患部を冷やせ!

痒みは、間違った方法が世間では広められているために、自己流で
解決してしまうケースが後を絶ちません。

痒みを抑えるための基本的動作は、「患部を冷やすこと」にあります。
熱くすると、皮膚組織を破壊しますが、勿論、冷たすぎても当然皮膚組織を
破壊します。

皮膚内の酸素反応は、体温と同程度の温度で活動を開始します。
これ以下の温度であれば、鈍化するためこれを狙いにいくというわけです。

市販されている、肌がスーッとするものが、よく売られているのは、
メントール系。このメントール系は、かゆみを鈍化させるのに最適です。

基本的に、痒みを増幅させる原因というのは、
スクラッチサイクルによるもので、掻くことで痒みを増幅させ、
痛みに通じるまで、掻き続けるためまずは、
掻かないように外部的に処方してやる必要があります。

ちなみに、動物にヒスタミンを投与すると、際限なく
掻き続けます。彼らには、我慢して他に転化させるという概念が
存在しないために、残念なことですが、損傷が起きるまで
掻き続けます。

尚、カプサイシンとは唐辛子に含まれる成分ではあるが、
これで代用するのは止めた方がいいです。

何故なら、カプサイシンは痛みを誘発する物資であり、
そういう意味では、熱いシャワーの患部を当てる行為と
物理的には似ていますので、これは止めた方がいいですね。

人間の爪は、鋭利なものというわけではないが、
人間の皮膚を刺激させる行為としては、うってつけの
材料です。だから、この爪で引っ掻くのは、当然患部の
周りを引っ掻いたり、かさぶたが出来たあたりで油断します。

また爪で直接掻かずにでも、こすりつけて
かゆみを取り除こうという涙ぐましい努力は
全て意味がありません。

それならば、強制力を働かせて、
テープなどで、固定して地獄の苦しみを
味わった方がまだマシです。

…というのも、難しいですから、
出来る限りごまかしながら対処をする…というのが
現在の治療法のようですね。